近年、終身雇用制度を見直す企業が増えているとともに、スキルアップのために転職を検討する20代の若者も増加しています。なかでも、未経験からでもできる職種に、企業と顧客を結ぶ窓口であるカスタマーサポートが選択肢のひとつとして挙げられます。
そして、なかにはカスタマーサポートとして働くことに興味を持っているものの「具体的な業務内容や求められるスキルがわからない」と悩む方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、カスタマーサポートの仕事内容や必要なスキルを中心に紹介します。
- コミュニケーション能力を活かして、カスタマーサポートで活躍したい
- カスタマーサポートに興味はあるが、どのような人が向いているかわからない
- 求められるスキルを理解し、カスタマーサポートに対する理解を深めたい
という方はこの記事を参考にすると、カスタマーサポートについて幅広く理解でき、自身に適した職業選択のヒントが得られます。
目次
カスタマーサポートとは
カスタマーサポートとは顧客からの問い合わせに対応し、改善策を提案する業務や部署です。
顧客からの問い合わせ内容は、サービスの使い方からクレームの処理まで多岐に渡ります。そして、このような問い合わせに対して、スピード感を持って対応しなければなりません。
そのため、カスタマーサポートには「顧客との関係構築」や「自社サービスへの付加価値」が期待され、サービスの質を高めるうえでも重要なポジションと言えるのです。
カスタマーサポートの仕事内容とは
以下では、カスタマーサポートの主な業務内容を紹介します。カスタマーサポートについての理解を深め、職業選択の候補としましょう。
顧客からの問い合わせに対応する
カスタマーサポートの主な業務内容は、顧客からの問い合わせ対応です。
顧客の要望や疑問点のヒアリングから解決手段を提案し、顧客満足度を高めるという業務フローを電話上で実践します。顧客と直接やりとりするため、会社の顔と表現されるケースも多く、誠実な対応が求められるのです。
また、カスタマーサポートの顧客対応には、自社サービスに付加価値をつける目的もあります。迅速な課題解決や誠実なクレーム対応は、類似サービスを提供する他社との差別化を図るポイントとなるので、カスタマーサポートはサービスの質にも直結する業務です。
顧客からのフィードバックを社内に共有する
顧客とのやりとりで得た、自社サービスに対するフィードバックを取捨選択し、社内に共有することもカスタマーサポートの業務です。
カスタマーサポートは、自社サービスを利用する顧客と直接やりとりを交わします。したがって、自社サービスに対する、ユーザー目線での評価や改善点の情報を得られるのです。
ユーザーの声を抽出した後は、サービスの質を向上するためにも社内へ情報共有をして、顧客のニーズや意見を商材へと反映させなければなりません。そこで、カスタマーサポートが顧客と企業の架け橋となり「他社サービスとの差別化」や「顧客との関係維持」を図る重要な役割を担っているのです。
カスタマーサポートに求められるスキルとは
以下では、カスタマーサポートに求められるスキルを3つ紹介します。必要なスキルを事前に確かめておくと、カスタマーサポートの就業イメージが掴みやすくなるうえ、向き不向きの判断もできるようになります。
顧客対応でのコミュニケーションスキル
まず、カスタマーサポートは、顧客対応を円滑にするコミュニケーションスキルが求められます。
カスタマーサポートは、顧客対応を通じて顧客満足度を向上させなければなりません。したがって、クレームや自社サービスへの疑問点などの、顧客の目的に応じて、適切な対応をする「顧客対応力」が求められます。
さらに、顧客ごとに異なる要件を正確に把握し、改善方法を伝えるコミュニケーションスキルが必須です。このように、相手によって異なる顧客対応をしなければならず、マニュアル化も難しいので、臨機応変に対応できる柔軟性がある人は向いています。
課題解決スキル
カスタマーサポートに求められる2つ目のスキルは、課題解決スキルです。
課題解決スキルとは「顧客が顕在的または、潜在的に抱える課題に対して具体的な解決方法を立案すること」を指します。そのため、顧客の抱える課題を定義し、説得力のある改善方法を伝えることが求められます。
また、解決策立案の前提となる自社提供サービスへの深い理解も必要です。「自社サービスでできること」や「導入事例」など、自社サービスの活用方法を正しく把握しつつ論理的に説明しなければならないので、論理的思考力や原因の抽出力もカスタマーサクセスには必要です。
カスタマーサポートとカスタマーサクセスの比較
以下では「カスタマーサポート」と混同されやすい「カスタマーサクセス」を比較します。
カスタマーサポート | カスタマーサクセス | |
---|---|---|
業務目的 |
問題解決を通し顧客満足度を高める |
顧客の成功体験を創出し顧客満足度を高める |
顧客対応への姿勢 |
顧客からの要望に応じる
(受動的) |
顧客の抱える潜在的なニーズを解決する(能動的) |
成果指標 |
顧客への対応回数・対応速度 |
LTV(顧客生涯価値)の向上・顧客解約率の低下 |
組織内の位置づけ |
コストセンター(コストがかかる部署) |
プロフィットセンター(収益が発生する部署) |
このように、両職業は成果指数や業務目的も異なりますが、とくに顧客対応への姿勢が違います。
カスタマーサクセスは、顧客の潜在的に抱える課題に対する改善方法を提示し、成功体験を通じて顧客満足度を向上させます。一方、カスタマーサポートは、問い合わせに応じて課題を解決し、顧客満足度を高めるのです。
いずれの業務も顧客対応業務という点では共通していますが、適性や求められる業務が異なるため、就職・転職の際には、それぞれの業務を区別して検討しましょう。また、「コストセンター」「プロフィットセンター」のいずれにカスタマーサポートが属するかは、企業によって異なるので、顧客を第一に考える社風の企業がおすすめです。
カスタマーサポートと似た職種との違いとは
ここでは、カスタマーサポートと似ている3つの職種の違いを紹介します。各職業によって目的や業務内容が異なるので、客観的に分析し自身に適した職業選びの参考にしましょう。
ヘルプデスク
まず、カスタマーサポートとヘルプデスクは問い合わせを受ける対象が異なります。
カスタマーサポートは主に、自社商品やサービスを利用する「顧客からの問い合わせ」を受け取ります。一方で、ヘルプデスクは社内・社外向けに部門がわかれており、社内向けヘルプデスクは「社員からの問い合わせ」に対応します。
また、ヘルプデスクは一次対応の場合が多く、より専門的な求められる際にはテクニカルサポートなどの他部署に引き継ぐ中継役となるのです。
オペレーター
つぎに、カスタマーサポートとオペレーターはターゲットが異なります。
カスタマーサポートは「既存顧客からの問い合わせ」に対応します。しかし、オペレーターは「新規顧客の電話対応」が主な業務です。
そのため、既にサービスを利用しているユーザーから質問を受けるカスタマーサポートの方が、より深い商品知識を求められます。
テクニカルサポート
カスタマーサポートとテクニカルサポートは共通点が多いものの、目的が異なります。
カスタマーサポートの主な目的は「顧客の問い合わせを解決すること」です。一方で、テクニカルサポートの目的は「自社サービスや商品に関する技術的な調査や返答」です。そして、カスタマーサポートとテクニカルサポートは主に事業内容によって使い分けられます。
サブスクリプション型のビジネスなど「顧客に寄り添ったアフターフォローが必要な事業」では、カスタマーサポートを設置する企業も多く、多機能なITツールなどの「技術的な顧客サポートが優先される事業」にはテクニカルサポートが必要なケースが多いです。
カスタマーサポートの仕事内容や必要なスキルまとめ
ここまで、カスタマーサポートの仕事内容や必要なスキルまで幅広くご紹介しました。
カスタマーサポートは会社の顔とも表現されるほど、顧客と企業をつなぐ重要なポジションです。そのため、転職や新卒で志望する方も多く注目している業種と言えます。
また、カスタマーサポートと業務内容の近い4つの職業も、対応相手や目的が異なるので確認が必要です。一方、能動的に行動ができたりコミュニケーション能力があったりする人には、顧客サポートを通じて自身の対応力を上げられることはもちろん、顧客生涯価値(LTV)の向上にも貢献するのでやりがいを感じやすい職種でもあります。
そこで、カスタマーサポートをはじめとした「顧客対応業務」へ就職・転職を検討している方は、まずは気軽に志望企業の社員と面談し、社員の特色や会社の風土なども含めて積極的に聞いてみましょう。
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