近年、サブスクリプション型ビジネスの普及と共に、「カスタマーサクセス」という職業が浸透しつつあります。カスタマーサクセスは、自社サービスに対する顧客満足度の上昇に貢献する重要なポジションと言えます。
また、多くの企業で導入が広がる非対面型のワークスタイルとも親和性が高く、今後も採用規模の拡大が見込まれる職業です。一方で、カスタマーサクセスへの興味はあるものの、業務内容が具体的に想像できない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、カスタマーサクセスの業務内容や求められるスキル・カスタマーサポートとの違いまで幅広く解説します。
- カスタマーサクセスの具体的な業務内容を知り、自身に適しているか判断したい
- カスタマーサクセスへの転職を検討しているため、必要なスキルを知りたい
- カスタマーサクセスが注目されている背景や業界への理解を深めたい
という20代の方は本記事を参考にすると、カスタマーサクセスが求められる理由が分かり、業務内容やスキルへの理解を深められます。
目次
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセスとは「顧客の成功体験」を支援し、利益を拡大する戦略や業務活動を指します。
サブスクリプション型のビジネスモデルや、SaaS(Software as a Service)の普及とともに注目されている職業の1つです。
また、カスタマーサクセスは、顧客の成功を通して自社の利益拡大を目指すため、顧客と企業をつなぐ重要なポジションと言えます。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いとは
カスタマーサクセスとカスタマーサポートには、2つの異なる点が存在します。
- 顧客の課題解決への姿勢
- 組織における位置づけ
カスタマーサポートは、顧客からの疑問や不具合の改善要請を受けてサービスを提供する「受動的な姿勢」である一方で、カスタマーサクセスは、顧客と長期的な関係を構築するために「能動的なアクション」が求められるのです
カスタマーサポートは、コスト部門として認識されやすい傾向にありますが、カスタマーサクセスは、収益部門としてみなされやすい傾向にあります
このように、カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、顧客対応という点で共通するものの、業務の目的や組織内での位置づけが異なります。
カスタマーサクセスが注目されている2つの理由
以下では、近年カスタマーサクセスに注目が集まる理由を解説します。需要の広がる背景や求められている業種を理解すると、いかにカスタマーサクセスが重要なポジションかがわかります。
(1)サブスクリプション型のビジネスが普及したから
ひとつめの理由として「サブスクリプション型のビジネスの普及」が挙げられます。
サブスクリプションとは、定額制で商品やサービスをユーザーに提供する料金体系を指し、インターネットの広がりとともに主流のビジネスモデルとなりました。
サブスクリプション型のビジネスモデルは、従来のパッケージ型商品(買い切り)と異なり、顧客と契約してから関係が始まります。なぜなら、定額制で利用しやすい料金設定が前提であり、顧客に長く利用されることで利益を高めていくビジネスモデルだからです。
そこで、顧客の成功体験を手助けし、顧客満足度を上げることで解約率の低下を目指すカスタマーサクセスが誕生しました。そのため、カスタマーサクセスは、サブスクリプション型ビジネスの普及と共にニーズの高まっている職業なのです。
(2)サービスに付加価値をつけられるから
カスタマーサクセスが注目される2つ目の理由は、自社サービスに付加価値をつけられるからです。
現在、自社で提供するサービスで他社ツールと大きな差別化を図ることは難しいとされています。なぜなら、インターネットが普及しており、革新的な技術やサービスであってもすぐに情報が出回ってしまうためです。
そこで、丁寧なカスタマーサクセスを付加価値として捉え、他社との差別化を図る企業が注目されています。カスタマーサクセスを自社の付加価値としてアピールするために、採用規模を拡大する企業が増えているのです。
カスタマーサクセスの主な業務内容とは
ここでは、カスタマーサクセスの主な業務内容を紹介します。自身にカスタマーサクセスができるかわからないという不安を抱いている方は、具体的な業務内容を理解しておくと、イメージがつきやすくなります。
サービス導入時のサポートをする
カスタマーサクセスの1つ目の業務は、自社サービスの導入支援です。
新規サービス導入は、顧客の会社の業務フローに変化をもたらします。そのため、導入がスムーズに進まなければ、変化を嫌う社員の反発や嫌悪感を助長し、サービスの解約に繋がってしまうのです。
そこで、カスタマーサクセスが顧客の抱える疑問点を明確にし、機能実演により即座に解消しつつ、導入支援が求められるのです。
LTVの最大化に貢献する
2つ目に、カスタマーサクセスはLTVの最大化への貢献が求められます。
LTVとは、Life Time Value(ライフ タイム バリュー)を略した言葉であり、「顧客生涯価値」を指します。サブスクリプション型のビジネスは、顧客に長期間サービスを利用されることで増益が見込めるため、LTVの上昇は業績の向上に直結します。
カスタマーサクセスはLTVを上昇させるために、能動的な商品サポートで顧客満足度を向上させなければなりません。
顧客の声を社内に共有する
カスタマーサクセスの3つ目の業務内容は、顧客の声を社内に反映することです。
カスタマーサクセスは顧客と直接対応するので、企業と顧客の橋渡しとなります。そのため、自社サービスにおける、ユーザー目線での改善点や利点の共有が求められるのです。
顧客の声やニーズを取捨選択し、自社プロダクトに反映させると、自社サービスの質の向上に繋がります。顧客のニーズを満たすツールは、顧客満足度の向上や他社ツールとの差別化にも繋がるので、カスタマーサクセスの重要な業務のひとつと言えます。
カスタマーサクセスに求められるスキル
以下では、カスタマーサクセスに求められる、具体的なスキルを紹介します。事前に必要なスキルを理解し、業務に対する解像度を高めましょう。
コミュニケーション・ヒアリングスキル
カスタマーサクセスでは、顧客と関係を構築するためにコミュニケーション・ヒアリングのスキルが必要です。
カスタマーサクセスの主な業務内容は、顧客対応になります。したがって、顧客との対話の中で、質問の意図を正しく理解するヒアリング力や、疑問に対する改善方法を正しく伝えるコミュニケーション力が求められます。
また、顧客がサービスを使いこなせず業務に支障をきたしているといった、迅速な対応が求められる場面も想定されます。状況に応じて顧客の求める情報を精査し、臨機応変な対応でサポートを提供する必要があるのです。
情報分析スキル
カスタマーサクセスには、顧客の現状の業務フローや課題を精査する分析力が必須です。
顧客の課題を分析するには、顧客の業務内容を可視化し明確にすることが重要です。そして、明確化した顧客の課題に対し、自社サービスがどのように活用できるのかを提案する必要があるのです。
とくに、数値に裏付けられた定量的なデータは顧客の共感を得やすく、課題に対して当事者意識を抱かせやすくなります。したがって、カスタマーサクセスは、データ処理や分析ツールを駆使し、課題を明確にする分析力が要求されます。
課題解決スキル
最後に、発見した課題を解決に導く、課題解決スキルが要求されます。
カスタマーサクセスは、企業が潜在的に抱える課題や現状のシステムの欠点を明確化し、具体的な解決策を提案しなければなりません。したがって、顧客の問題を定義し、解決策を提案するための論理的思考力が必要です。
また、解決策を立案するために、自社のサービスを詳しく理解していなければなりません。自社サービスで可能な点や他ツールとの組み合わせで解決できる課題など、自社ツールの活用方法を正しく理解することは大前提であり、そのうえで顧客満足度を高める必要があるのです。
カスタマーサクセスのスキルや業務内容まとめ
ここまで、カスタマーサクセスの業務内容や求められるスキル・背景まで幅広く紹介しました。
サブスクリプション型ビジネスと共に広がるカスタマーサクセスは、顧客の成功と自社の利益向上に貢献する重要なポジションです。また、今後もSaaSなどのソフトウェア拡大に伴い、需要の高まる職業と言われています。
一方で、比較的新しい職業であるため、組織内での位置づけや目標が正しく浸透していない場合には、業務のやりにくさを感じる場合も想定されます。そのため、カスタマーサクセスを志望するうえでは、サブスクリプション型のビジネスで実績のある企業や、親しみやすい社風の企業がおすすめです。
したがって、カスタマーサクセスへの就職・転職を検討している方は、社内におけるカスタマーサクセスの位置づけや社風など、興味のある企業の社員に面談を通して積極的に聞いてみましょう。
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