近年、終身雇用制度が見直されるとともに、スキルアップのために職を変える20代も増え、転職の捉え方が変わりつつあります。なかでも、売り上げの主軸となる「コンサルティングセールス」は、注目が集まっているポジションのひとつです。
そして、なかにはコンサルティングセールスとして働くことに興味を持っているものの「どのようなスキルが求められるのかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、コンサルティングセールスに必要なスキルやメリットを中心に紹介します。
- コンサルティングセールスに興味はあるが、自身に適しているか見極めたい
- コンサルティングセールスの需要が広がる背景を知り、職業選択の候補にしたい
- 必要なスキルを把握し、コンサルティングセールスの理解を深めたい
という方はこの記事を参考にすると、コンサルティングセールスについて幅広く理解でき、自身に適した職業選択のヒントが得られます。
目次
コンサルティングセールスとは
コンサルティングセールスとは、豊富な商品知識や業界理解のある営業者が、顧客の課題解決を通して商品を販売するポジションを指します。
顧客の抱える課題を顕在化させ解決方法を提案する「コンサルの視点」と、自社製品を訴求する「営業の視点」を併せ持ちます。そのため、高いコミュニケーション能力や課題解決力が求められるのです。
顧客に寄り添ったサービスを提供するコンサルティングセールスは、商品の付加価値となり得るため、今後も需要の拡大が見込まれている職業と言えます。
コンサルティングセールスに求められるスキル7選
以下では、コンサルティングセールスに必要なスキルを7つ紹介します。あらかじめ業務に求められる力を把握し、職業理解を深めることで自身に適しているか判断しましょう。
(1)論理的思考力
まず、コンサルティングセールスには論理的思考力(ロジカルシンキング)が求められます。
論理的思考力とは「論点を網羅的に整理し、複雑な問題を要素分解して考える能力」です。また、論理とは「結論までの過程を説明すること」であり、コンサルティングセールスには、ロジカルシンキングで得た答えを論理的に説明することが求められるのです。
また、コンサルティングセールスは、顧客情報の分析から成約までの業務フローで、常に論理的で明確な説明が求められます。そこで、疑問が生じたら「MECE(漏れ・ダブりなく要素を抽出する考え方)」をはじめとした、フレームワークに当てはめて検討するケースも多いです。
(2)コミュニケーションスキル
次に、コンサルティングセールスにはコミュニケーション能力が必須です。
コンサルティングセールスは、初対面の相手と信頼関係を構築し顧客化することが期待されます。したがって、顧客との円滑なコミュニケーションのなかで、自社のサービスをアピールしなければなりません。
また、相手の要望や意見を聞くヒアリングスキルもコミュニケーション力の一部です。見込み顧客が潜在的・顕在的に抱える課題を引き出せれば、自社商品を訴求する際のアピールポイントがわかったり、提案がスムーズに進んだりするため、話す・聞くどちらのコミュニケーションも不可欠なのです。
(3)プレゼンスキル
コンサルティングセールスにとって、プレゼンスキルは重要度な能力です。
コンサルティングセールスにおける業務目的は、自社商材の契約を結ぶことです。そのため、顧客に自社製品を買いたいという適切な「動機づけ」をする必要があります。
そこで、自社製品の強みと顧客の悩みを理解し、購入意欲を促すプレゼン力が必須なのです。また、説得力のあるプレゼンには自社製品に対する深い知識は前提である一方、顧客の業界への理解や今後の展望など幅広い知識が必要な点も特徴です。
(4)観察力
顧客の課題解決に貢献するために、観察力も必要なスキルです。
顧客の抱える課題には2種類の課題が挙げられます。1つの課題は「顧客も認識し顕在化している課題」を指し、課題を発見する時間が不要なのでスピーディーに解決策立案に動き出せます。
一方、2つ目の課題は「顧客が課題を課題として認識しておらず潜在化している課題」です。潜在的な課題を発見するには、顧客とのやりとりや企業情報など、さまざまな情報を精査する「観察力」が求められます。
潜在的な課題を発見し解決できると、他社への移管リスク軽減にもつながります。同時に、リピート率向上にもつながるため、潜在的な課題の発見・解決はコンサルティングセールスの重要な業務のひとつと言えます。
(5)分析力
コンサルティングセールスには、多くの情報を精査する分析力が必要です。
顧客が何をすべきかを分析するためにも、顧客の属するマーケットやターゲットを正確に分析しなければなりません。そのため、客観的事象からデータを導き出す分析力が不可欠となります。
また、近年は分析ツールを用いて、情報を分析するケースが増えています。したがって、分析ツールに関する知見や具体的な功績があれば、転職時にコンサルティングセールスとの親和性アピールにもなり得ます。
(6)業界に対する知見
コンサルティングセールスは、顧客の業界に対して知識が必要です。
「業界の動向」「顧客のビジネスモデル」「ターゲット」を事前に理解しておくことで、提案に説得力を持たせられます。コンサルティングセールスは、幅広い業務領域を一人で担当するため、幅広い分野の知識をインプットする習慣が求められます。
とくに、各業界に特化して使われる単語や、すでに社内で浸透している運用方法も踏まえたうえで提案することがポイントです。
(7)プロジェクト管理スキル
コンサルティングセールスには、プロジェクトマネジメント力も求められます。
コンサルティングセールスは、顧客の抱える課題解決に尽力しますが、実際に行動するのは顧客となります。そこで、外部から顧客とともに課題解決プロジェクトを管理するマネジメント力が必要です。
また、顧客によって抱える課題や社風・組織作りなどが異なるなかでも、ある期日までにプロジェクトを完了させなければなりません。したがって、顧客ごとにプロジェクトを先導していくことはもちろん、複数の案件の管理能力も求められるのです。
コンサルタントとコンサルティングセールスの違いとは
以下では「コンサルタント」と「コンサルティングセールス」の違いを比較します。
コンサルタント | コンサルティングセールス | |
---|---|---|
商品 |
顧客の抱える課題を解決する手段として、自他を問わずサービスを提供する。 |
顧客の抱える課題の解決を自社製品やサービスを通じて達成する。 |
業務の目的 |
顧客の抱える課題解決・意思決定の補助 |
自社商品の購入契約を結ぶ |
顧客との関わり方 |
長期間 |
中・長期間 |
とくに重要なスキル |
課題発見力 |
営業力 |
コンサルタントは、顧客の抱える課題を見つけたうえでの「課題解決」が業務となります。一方で、コンサルティングセールスは顧客の課題解決をする過程で「自社製品の販売」で利益を得るのです。
いずれの業務も「顧客の課題を解決し成功体験を獲得させる」というフローまでは共通しています。しかし、業務目的や扱う商材が大きく違うため、それぞれの職業の違いを把握し適性を見極めましょう。
コンサルティングセールスになるメリットとは
以下では、コンサルティングセールスになるメリットを3つ紹介します。メリットを正しく理解したうえでコンサルティングセールスに就くと、ミスマッチのリスクを減らせるので必見です。
モチベーション高く業務を進められる
コンサルティングセールスは、モチベーションを高く保ちやすいです。
一般的なフィールドセールスの場合、セールスマンは売り上げがやりがいの要因となるケースが多いです。一方で、ノルマや数字に追われストレスを感じやすい職業ともいわれています。
しかし、コンサルティングセールスは、顧客の課題解決を通じて契約を取得する業務形態であり、長期間の関係が前提となります。したがって、売り上げ以外にも顧客と一緒に課題を解決するという外的要因でのやりがいを獲得できるため、モチベーションを保ちやすいのです。
競合他社との差別化を図る「提案力」が身につく
コンサルティングセールスは、自社商品の付加価値となり他社製品との差別化を図れます。
インターネットの発達により、製品やサービスは類似商品が増え差別化が難しくなりました。なぜなら、ほかと異なる自社商品を作り上げても、インターネットを介して情報が即座に出回り、類似商品がリリースされてしまうからです。
コンサルティングセールスは、自社商品の販売のみならず顧客の課題を顕在化し、課題解決に導くコンサルタントとしての側面を持ちます。そのため、差別化を図る付加価値を営業活動のなかで、顧客ごとに異なる提案ができる「提案力」が身につくのです。
顧客からの信頼が得られやすい
コンサルティングセールスは、顧客からの信用を獲得しやすくリピート率向上に貢献します。
飛び込み営業やインサイドセールスは、商品やサービスの販売自体が目的と見込み顧客に捉えられやすく、警戒心を抱かれやすいと言えます。一方で、コンサルティングセールスは、顧客と共に課題を発見し、解決に向けて行動する過程があります。
また、コンサルティングセールスは、商品を販売した後のサポートも業務であることからも、顧客と長期的な信頼関係を築けるのです。
コンサルティングセールスに必要なスキルまとめ
ここまで、コンサルティングセールスに必要なスキルを中心に紹介しました。
コンサルティングセールスは売り上げの中核を担い、幅広い知識と営業力が求められる重要なポジションです。したがって、迅速にスキルアップができるとして、20代の転職で注目されている職業のひとつです。
また、今日では製品の差別化が難しくなっており、コンサルティングセールスの提案力が付加価値となるので、今後も需要の高まる職業と言えます。とはいえ、職業選びと同じように企業選びも重要であり、自身の価値観や希望キャリアに反さない企業を選ぶべきです。
そこで、コンサルティングセールスへの就職・転職を検討している方は、業務内容や福利厚生だけでなく「社風」や企業の掲げる「ミッション」を踏まえて企業理解を進めましょう。気軽に関心の高い企業に面談を申し込み、具体的な業務内容や働き方を尋ねるのもおすすめです。
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